家庭菜園 1
私たちが千葉に引っ越してきた頃、
辺りには畑地が広がっていて、富士山、丹沢山系も見えました。
ある日、いくつかの稲ぼっちが出来ているのを窓から眺めながら、
この辺りでは陸稲(おかぼ)が作られていたのかと思ったのですが、
後日それは、穫り入れたピーナツを乾燥させるための
“ピーナッツぼっち”だったことがわかりました。
そう、千葉は落花生の産地、まだそこかしこにピーナッツ畑があったのです。
穫り入れ直後の落花生を分けていただいた事があり、
泥落しや洗いなどで少々手間取りましたが、
茹でて口にした時、新しいピーナッツの味わいに感動したものです。
間もなく、近くの空き地が貸し農園になることを知って、
何を作るといった当ても無いまま、申し込みだけは済ませました。
鍬とシャベルがあれば何とかなるだろうと、いたって簡単に考えていたのですが
地面が硬く踏み均されてしまっていて、土を掘り起こすのが
容易ではありませんでした。
季節がら、茄子や胡瓜の苗を買ってきて植えましたが、
大雨の後、水が地面にしみ込まず泥沼のようになってしまって、アウト!
必要に迫られて、出来るだけ小まめに畑に出て土を掘り起こしました。
その結果わかったこと・・
“私は土いじりが嫌いではない”ということでした。
向日葵やコスモスの種を蒔き、バラの苗木も植えました。
翌年には、西瓜の苗も植えました。
この西瓜の成長の過程が、当時小学生だった娘の夏休みの宿題、
“自由研究”にまとめられた事、また、収穫できた小さな西瓜2個が
とても甘かったことが大きな収穫でした。

オクラ・・黄色い大輪の花は美しく、沢山実がなりました。
採れたてのオクラを生のまま薄切りにして
かつ節と醤油をかけていただいたとき・・
とても美味しかったことを思い出します。
にら・・ちょうど葱坊主のような花(淡い紫がかった白色の小花のかたまり)を、
花瓶にいけて楽しんだり致しました。
失敗談もあります。
枝豆が食べたいと、なんど種を蒔いても芽が出ません。
やがて原因がわかりました。蒔いた種を、カラスが食べてしまっていたのです。
種を蒔いている私の姿を どこかで見ていたのでしょうね、
それからしばらくの間は、カラスの鳴き声が“アホー、アホー”と
聞こえたものです。
苺も実った順に鳥に食べられてしまって、
半熟の、すっぱい実しか人間の口には入りませんでした。
カモミールの葉は、野良ちゃんのいい寝床になっていました。
その日その日のお天気も気になりました。
日照り続きの日には、バケツに水を汲んで運び、
風のひどい日には、苗が倒れてはいないだろうかなど・・
小さな家庭菜園でそうなのですから、農業を本職にされていらっしゃる方々の
ご苦労はいかばかりかと、実感したものです。