もう30年近くも前のことになりますが
そのころ彼はよく、水上の奥の藤原郷へ、
茅葺き民家を描きに出かけておりました。
水上駅から湯の小屋温泉行きのバスに乗って暫らく行くと
始めに目に入るのが粟沢の集落、
どっしりとした茅葺き民家が見事でした。
さらに30分ほどバスにゆられてダム湖の橋を渡ったその奥に、
藤原湖をとりかこむような形で、
青木沢を始めとして沢山の集落が点在しており、
そのいずれにも見事な茅葺き民家が建ち並んでおりました。
青木沢、久保、原、山口、一畝田、明川、須田貝、大芦、大沢
それが、それぞれの集落の名称です。
そのあたりは昔、奥州藤原氏の一族が隠れ住んだ地だとも言われ、
それ故に藤原郷と呼ばれるようになったと聞いております。
昭和35年(1960)に須田貝ダムが作られた時、
下流の河川を堰き止めてそこに出来たのが藤原湖であり、
その湖の底には160余戸の民家が眠っているということです。
何年かにわたり、四季折々に訪れた藤原郷での絵を紹介いたします。
【夏の絵から】
3号の「夏」にはコスモスがたくさん描かれていますが
この他にも民家と花の絵がかなりあります。