【秋の絵から】
湯ノ小屋温泉行きのバスに乗って須田貝下車、
坂道を下って右に折れると、須田貝集落が見渡せました。
この絵のヤギは、その須田貝集落の入り口付近で飼われおり
私たちはいつも、ヤギ小屋の近くにあった木立の下で一休みしたものです。
そして下記の「道」は、そこから見た須田貝の風景です。
【冬の絵から】
いつの事でしたか、
久保でバスを降りて山口に向かって歩いていたとき、
雪をのせたまま滑り落ちている屋根を見かけ
はっとしたことをよく憶えております。
私たちは、雪国の風物を求めて藤原郷を訪ね、
時に、雪に足をとられ難行苦行をする事はあっても、
そこで暮らす人々がいかに雪と接しているか、
その実際の姿を見てはいなかったことを、その時痛切に感じました。
屋根の雪下ろしをしていて、
誤って屋根から落ち、大怪我をされた方もいらしたほどです。
また、囲炉裏端でいろいろな話を伺いながら
秋の間に蓄えられた瓶詰めのきのこや漬物を頂いている時
しみじみとした幸せを感じた、そんな時もありました。
民家を描きながら彼はよく、こんな風なことを申しておりました。
・・それぞれの家が持つ長い歴史を、この絵の中に描きこめられたらなあ・・
【雪解け、そして春】
何年にもわたって通い続けた藤原郷でしたけれど、
次第に間遠になり、
気がついたら20年以上の歳月がたってしまっておりました。
宝台樹スキー場がオープンするなど開発が進んでいる様子が耳に入るとなおのこと、
気にはなりながらも足が遠のいてしまっていたのです。