ある時、旅から帰ってきた彼が、
子犬がいてね・・と、その可愛らしさを話してくれた時がありました。
確か、犬吠埼の君ヶ浜の近くの家に飼われていた犬のことで、
私も二度ほど彼から紹介されたことがあるのですが・・
度々海辺に出かけていた彼からは、その都度、
〈大きくなったなあ・・〉
〈頼もしい犬に成長した・・〉
などと、報告がありました。
やがてある日、
〈犬吠埼にはずいぶん通ったものだなあ・・
あの犬の腰が、抜けてしまっていたんだ・・〉
季節の移ろいの中で、
旅したそれぞれの土地を思い出すことも多かったようで、
たとえば台風の日など、海辺に住む人達が、
・・こんな日をどう過ごしているのだろうか・・と
気をもんでいることもありました。
これからも思い出すままに、
彼の言葉を書きとめて行きたいと思います。







