田染幸雄のコメント(2)
桃源郷
ホームページ<桃源郷>に載せた5点の絵が、
マリア書房が発行している「現代の洋画」に掲載されており、
それぞれの絵に関しての田染幸雄のコメントもありますので、
ここに紹介いたします。
「春光 20P」に関して
現代の洋画 №8(マリア書房1996年刊)掲載
桃のある風景を見たくなって出かけた。一宮町は四月中旬。
南アルプスの袂に広がる甲府盆地一帯はまさに“桃源郷”
滞在は延びた。
振り返ってみると、重ね重ねてきた旅だが、
土地の人々との一献傾けながらの語らいもまた、旅の味付けである。
耳順も半ば、今後も自然を求めて各地への旅は続きそうです。

「春風 10P(御坂町)」に関して
現代の洋画 №11(マリア書房1999年刊)掲載
花曇の4月中旬、春闌(はるたけなわ)の一宮町、御坂町に出かけた。
見渡すかぎりの桃の里は春風駘蕩、淡く聳える残雪の南アルプス連峰が
一対になって、景観になお趣を添えていた。

「春郊 8P(新府)」に関して
現代の洋画 №12(マリア書房2000年刊))掲載
中央線の新府は無人駅である。
ホームから急な階段を下りて道なりにだらだら坂を上っていくと、
いきなり視界が展ける。甲斐路の春はたけなわ。
桃、桜、菜の花が咲き乱れ、眼下に中央線の電車が走る。
前方には残雪の八ケ岳連峰、背後に富士山。
丘を回ると鳳凰三山が間近に迫って見える。
まさに桃源郷である。

「吾妻連峰」に関して
現代の洋画 №16(マリア書房2004年刊)掲載
むかしから農作業開始の合図にもなると言い伝えられてきた雪形。
信州飯綱山・爺が岳の種蒔き爺さん、白馬岳の代掻き馬などが有名ですが、
ここ吾妻小富士にも、この日は、はっきりと雪兎の姿が見られました。
春風駘蕩、季節の豊かな表情や風土に引かれて、
古希を過ぎても取材の旅はまだ続いています。

「春光 12P(群馬県・月夜野町)」に関して
現代の洋画 №10(マリア書房1998年刊)
郷里の友人が郷土史「私達と遠石」を上梓。
子供の頃遊びまわった豊かな自然と文化に暫しタイムスリップ
募る郷愁に浸った。今は過日の感。
青年期頃まで心に刻み込まれた郷里の自然環境が、
ある風景を見たときに触発され
今日の制作の場になってきたようです。

上記5点の絵は、ホームページ<桃源郷>で拡大してご覧いただけます。