背戸峨廊・夏井川
<背戸峨廊・夏井川>
強い風の吹く夏井川沿いの道で・・
吹き溜まりの木の葉を大きな麻袋に集めている人達がいて
伺うと、集めた木の葉で、腐葉土を作るとのことでした。
そういえば私も小さな畑を耕していた時があり
その頃は、畑で出来たものはすべて畑にと
雑草も野菜くずも穴を掘っては埋めていたのですが
月日がたって耕してみると、そこに新しい土が生まれていて
感動したものです。
背戸峨廊(せとがろう)・・
その渓谷の名をはじめて聞いたとき、又その文字を見たとき
何と風変わりな地名・・と思ったものです。
宿のご主人の話によると
渓谷の名付け親は、福島県の詩人として有名な草野心平氏
・・ほら、こんな身近なところに峨峨たる山、みごとな渓谷がある
という、故郷を愛し自慢したい気持が込められているそうで
話を伺ううちに、次第に愛着もわいてまいりました。
背戸(せど)・・裏口・裏門・家の後ろ(広辞苑より)
渓谷の入り口に建てられた“背戸峨廊”という石標も
当初は草野氏の書を予定していたはずなのに
ひょんなことから他の人の筆になったとか。
大酒豪であったことが災いしたのかもしれないというのが
宿のご主人の話でした。

背戸峨廊の渓谷沿いの道で・・
岩の多い道は、水に濡れてすべりやすい上に
場所によっては岩の上も水の上も区別なく
色とりどりの木の葉が降り積もり、埋めつくしておりました。
別れぎわに宿のご主人が
思いがけない場所で立て続けに転落事故が起きているので
注意して欲しいと話されておりましたので
私たちは、渓谷周遊の序の口である釜ん淵(かまんぶち)まで行って
そこから引き返すことにいたしました。