水上町・藤原(1)
私たちが藤原郷に行くようになったのは
湖が出来てから10年余もたってからのことでしたので、
当時のいきさつなど、あまり耳にする事もありませんでしたけれど、
小さいお店を開いていた方がふっともらした言葉のはしから察するに、
保証金云々で・・何か切ない話もあったようです。
村を離れた人も多かったのかもしれません。
始めのうちは、湯の小屋温泉か宝川温泉に泊まっていましたが
慣れるにつれて、久保でバスを降り西橋を渡ったところの旅館に
宿をとるようになりました。
湖の上を渡ってくる風の涼しさに生き返る思いをした夏の日を懐かしく思い出します。
その後縁あって、山口の民宿、大沢の民宿に泊まるようになりました。
また青木沢でも、いつも寄らせていただくお宅があって
お茶を頂いた事など忘れられません。
ホームページで、夏の絵を4点紹介しておりますが、
青木沢が舞台の“ひまわりの花と茅葺き民家”の絵もあったはず・・と思い
探したのですが、写真は見つかりませんでした。
ひまわりの絵を描いたその日、山口を出発した私たちは原を通ってトンネルを抜け、
青木沢まで歩いて行きました。
とても暑い日でしたので、木立があるとその下に駆け込み、
しばしの休みをとりながら空を見上げ、
〈あの雲が太陽を隠したら歩き始めよう〉
そしてだらだら坂道を曲がり登り、青木沢の集落が見えたとき、
民家の軒先に、ひまわりの花が、鮮やかに咲いておりました。